Lui's平野 (H)
まず始めに、この度は、コラボレーションのお話を受けて頂きありがとうございました。
正直、まさか、お受けして頂けるとは思っていなかったので、何故お受け頂いたのかお聞かせ願えますか?


Joe (J)
ブランドが今の形態になる前のジョーケースリーヘイフォードの時代、10年前からLuisと取引していたし、 10年後の今もケースリーヘイフォードとして関係性があって、こういう取り組みの機会を得たということに運命的なものを感じているからです。


H
ありがとうございます。 約10年を経て今お二人から見たLui'sは、どのようなイメージでしょうか?


J
ストリートとデザイナーズのフュージョンというか、テイストのMIX、そういったところのハーモニーが非常に良いと思っています。

H
嬉しいです。仰っていただいている所はまさに僕らの核であり提案したいと思っているスタイルなので。

10年の間で、息子さんが入ったりという流れもあり、どう変わったか、服作りの姿勢なども変化した部分はあるのか、お聞かせ願いますか?


J
服作りに対する現在の考えは、ストリートとテーラード(サルトリアル)のミックスを考えています。
ロンドンという街はストリート的な要素がカルチャー、バックグラウンドとしてあって、私自身はサヴィィルロウの要素やセントマーチンの時代にどちらの面も学んでブランドを立ち上げたのでどちらの影響も受けているように思います。

その一方でチャーリーはクラッシュのメンバーの為に服をデザインしたりコレクションをミュージシャンらに提案している関係性も非常に重要な要素だと思います。

H
アイテムを拝見させていただいていて品の良さはずっとあるんですが、ストリートの要素もすごくあって、初めて見た時からずっと良いなと思っていました。
H
僕は洋服を好きになったきっかけが音楽の要素が強かったので、クラッシュは憧れの存在です。何か裏話的な秘話とかはありますか?


J
いわゆるロックな方々のストーリーなので、ここでは書けないんじゃないかな。(笑)
元々は彼らから頼まれて受けていた仕事なんだ。
まだ自分のオフィスが無かった時代に、友人のアトリエを借りてはじめたのがブランドのスタートなんだけれど、借りたスタジオにデザイン画とかを貼り付けて、「やってる感」を出してたんだよね。懐かしい。(笑)
でもチャーリーとも、いつも音楽の話をしてるんだ。

H
そうなんですね。
お二人はサヴイルロウ、テーラリングがイメージなので音楽もクラシックなど聴かれるのかなと。少し硬いイメージでした。でも、話を聞いていると違うんだなと思いました。失礼かもしれないけど庶民的な一面もあるんだなと。


J
とんでもないよ(笑)
J
音楽と食べ物が好きで,最近は鯖の味噌煮にはまっている。天ぷらも好きだよ。

Charlie (C)
僕は天ぷらを食べるのもスキだけど作るのも好きなんだ。

通訳担当の方
僕がレシピを教えたのですが、作った後メールで「これで合っているかどうか?」と、画像付きでアプローバルを取ってきたりするんですよ

(一同笑)
H
お茶目ですね。鯖味噌煮とか天ぷらとはさらに意外です 笑 ちなみに日本に来たら必ず行く場所ってありますか?


J
来日の時はスケジュールがタイトなので必ず行く場所、というのはそんなに無いけれど、夜は毎回築地に行ってディナーしています。
場外のイメージが良いんですよね。本来デザイナーはCYTYに目を向けがちですが、デザイナーとして見るいわゆるCITYとは違う雰囲気を築地には感じます。

H
アイテムに、ジャパンメイドが多いと思うのですがその理由は? また、生産国をアイテムによって分けている意図は何ですか?


J
コレクションをデザインした時やモノをつくろうと考えた時、何かを作る時に、まず一番うまく作れる場所で作りたいと考えます。
例えばシャツならイギリス、イングランド。ニットならアイルランド、ジャケット系はイタリアなど。
生産国をアイテムによって「ここがいいな」という場所によって分けているんです。
テーラードのものや、アウターに関しては日本の生産が一番が良いです。
例えばイタリアでテーラードを作ると、どうしても「イタリア」テイストというかイタリア人の「こなし」になってしまう。
これはもともと作り手の方々が持っているアイデアの影響が出てしまうからなんですが、 日本の方々のテーラードはどちらかというとイギリスの影響を受けているところが強いと感じていて、 それを理解した上で、自分たちのデザインやモダンの要素などのイメージを具現化してくれるのが日本だと思っています。

H
テーラードって、僕の中のイメージではアメリカがあり、イタリアがあり、イギリスがあります。その違いって何ですか?大きく分けて、ヨーロッパ=細いイメージなんですが、イタリア、ロンドンの差がどこに現れるのかなと。実際そこをどう表現しているのかなと思うのですが。


J
すごく良い質問ですね。うん。 テーラードには、かなり色んな要素があるんです。
J
その一つ、スーツの歴史というか、テーラードの歴史に戻りますが発祥はイギリス。そこからイタリアに渡ったからベースはイギリスなんです。
1950年~60年台にイタリアのサルトリアル(職人)の方々がサヴィルロウに来てスーツ作りを学んで自国に帰っていって、それを持ちかえった時、サヴィルロウで培ったスーツを今のイタリア的要素、例えば胸を狭くしたり肩のパットを薄くしたりなど要するに身体にフィットしていくようにしたりして「イタリアテイスト」に変化させていったのです。

H
なるほどですね。
そんな歴史を踏まえて今の現代の若い年代がオシャレにスーツを着こなすにはどうしたら良いと思いますか?


C
比率を変えることかな。
通常のスーツの着方を、上を大きくして下を細く、もしくは上を細くして下を太くなどにね。
僕は基本的なスタイルとしてパンツは細身、靴下は赤、ジャケットはゆったりのバランスが好きだな。」 昔ドーバーストリートで販売をしていた時も、そんな話をお客さんとしていたなぁ。
H
チャーリーさんは現場に立たれていたということで、僕らも親近間というか、身近なファッションアイコン的存在に思います。


C
でも今は忙しすぎてね。 寝ている時が休んでいる時、っていう状態だよ。そんな中でも音楽を聴くのが一番のリフレッシュだけどね。


H
チャーリーさんの今一番好きな音楽って何ですか?


C
エレクトロ、ニューミュージック、ダンスミュージックの次世代の音楽。 アメリカン、スコティッシュ、ブリティッシュの子達が面白いかな。
Inc HudsonMOHAWKE OFEI LAPALUX JAIPAULとか。 特にHudsonMOHAWKEは最高だね。

H
最近のお二人の着こなしが、こういった音楽に影響されることもあるんですか?
C
逆に、彼らから衣装を作ってくれ」と言われることはあるよ。(笑) 忙しすぎて受けられないけれどね。


H
やはりインスピレーションの源は音楽なんですね。


C
そうですね。
音楽はインスピレーションの一つの要素ですね。ロンドンはいろんな国の、色んなルーツを持った人達が居る そこにいろんな背景、文化がMIXされているのでロンドンに居るだけで影響があるんです。
キングスランドロードというすごく長い道に僕らのアトリエがあるんだけども、道を北から南にかけて歩くだけで色んな食べ物、文化があります。
日本は単一文化というか、同じようにNYはエリアエリアでセグメントされている感じが強いのに比べて、ロンドンはかなりMIXされていて、どこにどの人種の人が多く居る、とかそういうのがあまり無い。
さっき言ったアーティストの子たちも、カルチャーMIXな音楽を作る子たちだなと思っています。

H
MIXということで、今回のコラボレートもまさにCasely-HayfordとLui’sのMIXになるわけですがアイテムについて意図やイメージを教えて下さい


J
もちろんジャケット、スーツの着こなしというサヴィルロウの考えはあるんだが、 それをもう一度組みなおして、着易く、動き易くということを考えつつルイスのストリートの要素を入れて現したいと考えました。
生地は、伝統的なチョークストライプ生地でクラッシクに。襟裏のリブにスポーツのテイスト、そしてパンツはストリート感あるテーパードシルエットで制作しました。


H
着用すると驚くほど軽いのも特徴ですよね。今季のLui’sのテーマ「PLAYFULDANDY」にぴったりなセットアップです。本当にありがとうございます。
H
最後にブランドの今後についてお聞かせください。


J
ブランドとしては13AWに関しては一番スポーティーなコレクション、スポーティーな要素を取り入れたチャレンジのシーズンです。
ケースリーヘイフォードに対して皆さんのイメージはサルトリアルやクラシックなイメージだと思うのですがそんな中の今後は、スポーツの要素を取り込んでいきたいと思っています。 14SSに関してももちろん、今後は毎回何かしらのトライはしていきたいと考えています。 ブランドコンセプトは「DUALITY=二面性」なので、例えば同じテーマを掲げた時も 2人の年代が違う分、チャーリーの世代、ジョー;の世代が生み出すものが少しずつちがうのをMIXしていくのがブランドのアイデンティティでもあると考えています。


H
本日はありがとうございました。
今後とも、どうぞ宜しくお願い致します。そして次回来日時には是非一緒に築地に行きましょう


J & C
是非。 これからもLui'sに期待しています。

アンコンジャケットをベースに、素材をLui's(ルイス)の為にデザイナー自ら選んでいただき製作されました。
衿裏には、「スポーティー」を表現するリブが有り、襟元を立てたときの良いアクセントとなります。
ベースのファッショナブルさと、襟元のスポーティーさが見事に融合されたジャケットです。
Casely-Hayfordでも定番となります、テーパードがかったリラックスシルエットのスラックスをベースに、素材をLui's(ルイス)の為にデザイナー自ら選んでいただき製作されました。
しなやかな素材感が、パンツのリラックスシルエットと絶妙にマッチングしイージーな見た目ながら、非常に品のある仕上がりになります。